WiMAXリフレクタに関する電波法解釈

ココから転載しました。

以前、このブログにWiMAXルーター「WM3500R」のリフレクタに関する下記記事を投稿いたしました。

WiMAXルーター WM3500R にリフレクタ(210円( ー`дー´)キリッ)を付けて、高速化してみた

ところが、私の法解釈を記さずに投稿したため、つい先日、はてなブックマークにて、電波法違反ではないかというコメントを多数いただきました。

仮にもアマチュア無線家で、国家試験をパスしている身でありながら、自らの法解釈を記さずにこのような記事を投稿してしったことは、私の過ちであり、反省しなければなりません。

ですが、結論から言って、このリフレクタは電波法違法ではありません。

理由は、このリフレクタは電波法で言うところの「送信空中線系」(俗にいう送信アンテナ)に該当しないからです。

(いや、実はもっと根本的な理由もあるのだが、後述)

まず、無線機の改造に関して定義されているのは電波法の

第百二条の十一 総務大臣は、無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合において、その妨害が第三章に定める技術基準に適合しない設計に基づき製造され、又は改造された無線設備を使用したことにより生じたと認められ、かつ、当該設計と同一の設計に基づき製造され、又は改造さ れた無線設備(以下この項及び次条において「基準不適合設備」という。)が広く販売されており、これを放置しては、当該基準不適合設備を使用する無線局が 他の無線局の運用に重大な悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、無線通信の秩序の維持を図るために必要な限度において、当該基準不適合設備の製造業 者又は販売業者に対し、その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 総務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
3 総務大臣は、第一項の規定による勧告をしようとするときは、経済産業大臣の同意を得なければならない。

この部分。

実は、この部分、読むとわかるのですが、特に青い部分が「かつ」「又」が多く、解釈が難しいところです。生半可な気持ちで読むと、とんでもない解釈になります。

ちょっと、色をつけてみました。

総務大臣は、無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合において、その妨害が第三章に定める技術基準に適合しない設計に基づき製造され、又は改造された無線設備を使用したことにより生じたと認められ、かつ、当該設計と同一の設計に基づき製造され、又は改造さ れた無線設備(以下この項及び次条において「基準不適合設備」という。)が広く販売されており、これを放置しては、当該基準不適合設備を使用する無線局が 他の無線局の運用に重大な悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、無線通信の秩序の維持を図るために必要な限度において、当該基準不適合設備の製造業 者又は販売業者に対し、その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

要は、青い部分に該当した場合に、総務大臣は「その事態を除去するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる」ということです。

では、青い部分を色分け。ここがかなりの難関

無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合において、その妨害が第三章に定める技術基準に適合しない設計に基づき製造され、又は改造された無線設備を使用したことにより生じたと認められ、かつ、当該設計と同一の設計に基づき製造され、又は改造さ れた無線設備(以下この項及び次条において「基準不適合設備」という。)が広く販売されており、これを放置しては、当該基準不適合設備を使用する無線局が 他の無線局の運用に重大な悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、

青い部分と緑の部分の両方が「かつ」で結ばれていますので、両方が成立すれば、先程の「必要な措置」を講ずることができます。

ややこしいので、色分けだけ、一気に前者と後者の両方します。

前者

無線局が他の無線局の運用を著しく阻害するような混信その他の妨害を与えた場合において、その妨害が第三章に定める技術基準に適合しない設計に基づき製造され、又は改造された無線設備を使用したことにより生じたと認められ、

後者

当該設計と同一の設計に基づき製造され、又は改造された無線設備(以下この項及び次条において「基準不適合設備」という。)が広く販売されており、これを放置しては、当該基準不適合設備を使用する無線局が他の無線局の運用に重大な悪影響を与えるおそれがあると認めるときは、

・・・・・おわかりだろうか。

この解釈だと、「第百二条の十一」では広く販売されない限り、改造された無線機を運用しても、この条文には該当しないということだ。

ついでに、他の無線局に妨害を与えてしまったり、人体に影響を与えたりすると、別の条文で勧告をだされるので、当然、妨害や人体に影響を与えていない範囲での話だ。

念のため、この「改造された無線設備」に関して掘り下げてみよう。

まず、「無線設備」とは何か。

これに関しては、第二条の定義に書かれている。

第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。 

一 「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。
二 「無線電信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう。
三 「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。
四 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。
五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。
六 「無線従事者」とは、無線設備の操作又はその監督を行う者であつて、総務大臣の免許を受けたものをいう。

 

アマチュア無線をやっていたりしないと、もはや聞いたことないような言い回しだと思う。

WiMAXルーターは無線電信に該当するため

四→二

と解釈することになる。ついでに、他の定義についても、覚えておくといいことがあるかもしれない。

つまり、「今回のリフレクタが『電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備、その他電波を送り、又は受けるための電気的設備』の改造に該当するかどうか」となる。ややこしいですな

「今回のリフレクタが通信設備、又は電波の送受信のための電気的設備の改造に当たるかどうか」

緑と青のどちらかの改造かどうかという話だが、改造による違法性が適応されるのは「送信設備」のみとなっているため、このリフレクタが「送信設備の改造」に当たるかどうかなのだ。

その他の電波法の用語の定義に関しては「電波法施行規則」というもので定義されている。

電波法施行規則の第二条の三十五

「送信設備」とは、送信装置と送信空中線系とから成る電波を送る設備をいう。

ここで、空中線という単語に関して解説しておこう。実は、「空中線」という単語自体は電波法、電波法施行規則のどちらでも定義されていない。

法律では常識レベルとして扱われている。空中線とは俗にいう「アンテナ」の事であり、アマチュア無線ではよく「空中線電力」とか「送信空中線系」なんて単語の一部として使われる。

(と言っても、こんな単語、無線局申請の時ぐらいにしか出てきませんが・・・・w)

ともあれ、送信装置は、高周波エネルギーの発生装置のことを指すので、論外

「送信空中線系」の改造なのか?

送信空中線系の定義は電波法施行規則 第二条の三十七

「送信空中線系」とは、送信装置の発生する高周波エネルギーを空間へ輻射する装置をいう。

ここで答えが見えてきた。

そう、あくまでも、高周波エネルギーを「輻射」する装置が送信設備、ないし、無線設備に該当する。

そして、今回のリフレクタは名前通り「反射」するもの。無線設備には該当しないので、リフレクタの設置は、あくまでも、無線設備の隣に金属の物体を設置したに過ぎない、というのが電波法を解釈した結果だ。

まあ、根本的に、改造品を広く販売しない限り、改造自体での違法性はないということだ。だが、当然、妨害すれば今回解釈しなかった条文で勧告や刑法での罰則もありうるわけです。

特に、心臓ペースメーカー付近での運用は人体に影響を及ぼすので、当然許されるべき行為ではありません。

ともあれ、電波はみんなの物。正しく使いましょう

 

余談

もしかすると、私と親しい人でも、僕がアマチュア無線の免許を持っていることを知らない人は多いかもしれないですね

持ってる免許は第三級。そこまで、第三級は無線工学も法規も難しくなかったですが、第二級の勉強をしたにもかかわらず、お金&よく考えたら取るメリットがないということで、試験受けてない人です。

でも、今更勉強しなおすのも・・・・OTZ

もったいない

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